離婚に関するQ&A

29年間の弁護士事務所勤務の間に、離婚に関して似たようなご質問をいただきました。同じようなことを疑問に思っていらっしゃる方のために、まとめてみました。

夫婦間で文書を作成したのではダメ?

夫婦間で約束したことを文書にされる方もおられます。しかし、せっかく文書を作成しても、その内容が不足していると後々紛争が再燃することになりかねません。また、単に当事者同士で合意内容を書面に残しただけでは、約束が破られたときには、裁判をしなければ強制執行はできません。後になって苦労しないためにも、「公正証書」という正式な文書にした方が良いです。

夫婦間で文書を作成したのではダメ?

夫婦間で約束したことを文書にされる方もおられます。しかし、せっかく文書を作成しても、その内容が不足していると後々紛争が再燃することになりかねません。また、単に当事者同士で合意内容を書面に残しただけでは、約束が破られたときには、裁判をしなければ強制執行はできません。後になって苦労しないためにも、「公正証書」という正式な文書にした方が良いです。

私は離婚をしたいのですが、相手が応じてくれません。その場合、どんな方法がありますか。
法律上、離婚には当事者の話し合いによる協議離婚、調停での合意による調停離婚、そして裁判離婚があります。相手方に離婚する気がないとき、あるいは、離婚は承諾するが、財産分与や慰謝料等の条件で折り合いがつかないなど、離婚の話し合いが進まない場合は、家庭裁判所に離婚の調停を申し立てることができます。調停でも折り合いがつかず、話し合いがまとまらなかった場合には、家庭裁判所に離婚の裁判を提起することができます。その際、離婚とともに財産分与、慰謝料、養育費等の請求を併せて行うことができます。
感情的に離婚届に署名捺印して相手に渡しましたが、離婚を取りやめることは可能ですか。
できます。仮に、離婚届が市区町村役場に提出された後でも、離婚無効確認の調停を申し立てて戸籍を訂正することができます。ただし、本心ではなかったことの立証が必要になります。
未成年者は、両親の同意がないと離婚できないのですか。
離婚するには両親の同意はいりません。未成年者が結婚するには、父母の同意が必要です。しかし、婚姻届が受理されると、成年に達したものとみなされ、親権者の親権に服さなくてもよくなります。これを「成年擬制」といいます。結婚生活は結婚した本人たちが独立して営むべきである、という理由からです。したがって、結婚によって成年扱いを受けていますから、離婚のときには、結婚のときと異なり、父母の同意はいりません。
協議離婚をするためには、離婚理由がなければならないのですか。
協議離婚をするには、離婚理由は必要ありません。ご夫婦の合意によってする離婚のことを協議離婚といいます。協議さえ調えばよく、何ら特別の理由があることを必要としません。
法定離婚原因の一つである「配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき」とは、具体的にどのような場合ですか。
配偶者が、夫婦生活の本質的な義務を果たせないほどの強度の精神病を患い、その精神病の回復の見込みがない場合のことです。しかし、強度の精神病という病状の事実のみによって、裁判で離婚が認められるのは難しいといえます。少なくとも、精神病を患った配偶者の離婚後の生活が保障され、経済的支援の見通しが立っていることが裁判離婚成立のためには必要であるといえます。
うつ病の配偶者と離婚をしたいのですが、離婚できますか。
一般的に、うつ病のみを原因としての離婚は難しいと考えられています。「結婚をして、お前のせいでうつ病になった」などと責められる方もいるようです。そのような場合に備えて、配偶者がうつ病になった場合、いつ うつ症状を発症したのか、現在服用している薬があるか、いつから服用しているのか、等を明確にしておく必要があります。離婚をしたいと考えた場合、うつ病を原因としての離婚は難しく、本人同士が合意していれば離婚できますが、相手方が認めない場合は、まず別居をし、婚姻関係が破綻しているという状況を作ることから始めることになります。
法定離婚原因である「婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」とは、具体的にどのような場合ですか。
婚姻生活が破綻している場合をいいます。婚姻生活の破綻とは、夫婦が婚姻継続の意思を実質的に失っており、夫婦関係を回復することが不可能であると判断できる状態のことです。原因は、配偶者の重大な犯罪行為や重大な侮辱・虐待、浪費癖や勤労意欲の欠如など夫婦の一方に責任がある場合もありますし、性格の不一致等、必ずしも一方のみに責任を問えない場合も含まれます。別居期間が長期に及んでいる場合は、夫婦関係回復の見込みがない判断され、離婚が認められやすくなる傾向にあります。
浪費家の夫と離婚したいのですが、離婚できるでしょうか。
配偶者の浪費も、協力扶助義務違反をきたし、「婚姻を継続し難い重大な事由」として離婚原因になる場合があります。浪費といえるかどうかは、本人の地位・境遇・財産状態等諸般の事情を考慮して決定されることであって、一律に基準を立てることはできません。ただ、一般に、費消の仕方が社会的非難に値するものであること、習癖となっていること、生活維持の困難を生じ配偶者や子供の扶養義務を果たし得なくなる恐れがあることなどが、浪費の重要な要素とされています。
怠け者の夫と離婚したいのですが、離婚できるでしょうか。
「婚姻を継続し難い重大な事由」があるとして、妻からの離婚請求が認められる場合があります。夫婦は互いに協力し扶助する義務があり、この義務に著しく違背するときには、「悪意の遺棄」としての離婚原因が考えられる場合もあります。判例としては、健康な夫が妻をかえりみず、収入があると喫茶店に入り、賭博にふけり、日々の生活費にも事欠きながら他に収入の道を求めず、徒食浪費を続けているという事実関係のもとで、婚姻を継続し難い重大な事由があるとして、妻からの離婚請求を認めているものがあります。
夫の親との関係がうまくいかないのですが、これは離婚原因になりますか。
基本的には、離婚原因にはなりません。ただし、妻が夫の親とうまくいっておらず、夫が妻からそのような悩みを訴えられるなどして、妻と親の不和を認識しながら、傍観していただけの場合は、離婚原因になる可能性はあります。
確かに、夫の親と不仲であると、婚姻関係を続けたくないという思いを抱くことはあると思います。ただ、それはあくまで配偶者の親との関係であり、夫婦間の問題ではありません。夫の親とうまくいってなかったとしても、夫自身がフォローしてくれたりすれば、夫婦間には、「婚姻を継続し難い重大な事由がある(法定離婚原因)」ということは言えません。
ただ、夫の親とうまくいっていない場合に、夫からも一緒になって責められたり、あるいは、責めるまでしなくても、その不仲な状況を放っておかれたりすれば、そのことは、離婚原因になる可能性はあります。
浮気をした夫から離婚を申し込まれていますが、応じなければならないのでしょうか。
応じる必要はありません。有責配偶者(不貞行為を行った配偶者等)から離婚請求がなされた場合、裁判所は離婚を容易には認めません。なお、最高裁では、次の要件を満たさない場合、離婚請求は認めないと判示しています。
  1. 別居期間が長期間に及んでいること。
  2. 未成熟子が存在しないこと。
  3. 相手方配偶者が精神的・社会的・経済的に極めて過酷な状態に置かれるなどの事情がないこと。
上記の要件に該当するか否かは、事案の具体的な内容によります。
妻が新興宗教に入信して困っているのですが、これは離婚原因になるのでしょうか。
離婚原因にはなりません。夫婦は、互いに個人として尊重されなければなりません。宗教が違うことが、直ちに離婚事由にはなりません。ただ、子供に入信させて寄付のための個別訪問をさせたり、多額の寄付を行ったり、あるいは日常的な習俗、例えば、祭りとか正月の行事に参加しないなど、過度に協力義務に違反するような場合には、離婚原因になることがあります。
離婚後も夫の姓でいたいのですが、できないでしょうか。
できます。離婚すると、結婚の際に氏を改めた夫または妻は、当然に結婚前の旧姓に戻ることになっております。これを離婚による復氏といいます。しかし、それでは何かと不便を感ずることが少なくないと思われます。そこで、民法は新たに、離婚により結婚前の姓に戻った夫または妻は、離婚の日から3ヶ月以内に戸籍法の定めるところにより届出をすることによって、離婚の際に称していた姓を称することができると定めました。したがって、離婚後も夫の姓でいることができます。
協議離婚の際に子供の親権者を父と定めたとしたら、その後、実際に子供を手元において監護教育している母に親権者を変更することはできないのですか。
親権者を母に変更することができます。父母間の協議で父母の一方に親権者が定められた後に、子供の福祉のため必要があるときは、子供の親族は家庭裁判所に親権者の変更を請求できます。
夫が不倫相手の子供を認知した場合、夫は親権者になるのでしょうか。

なりません。不倫相手が産んだ子(非嫡出子といいます)は、分娩の事実により母子関係が生じ、母のみが親権者となります。そして、父が認知しても法律上の父子関係が生ずるだけで、母のみが親権者であることには変わりありません。
※ 認知とは、婚姻関係にない男性との間で子供ができた場合、その男性が自分の子供と認める手続をいいます。

離婚した後、親権者である私のもとに、別れた夫が子供との面会を求めてきて欲しくないです。子供と面会させないことができますか。
親権者(監護権者)でない親が、自分の未成年の子供と面会、文通、接触する権利のことを面会交流権といいます。この面会交流権は、親として当然に有する権利であり、民法766条1項に規定されています。したがって、子供と面会させないことはできません。しかし、この面会交流権を無制限に認めると、子供の福祉を害する恐れがあるため、面会方法(回数、日時、場所など)を離婚協議書等で定めておきましょう。
養育費は、離婚協議書にどのように定めたらよいですか。
毎月の支払いについて定めるのは当然ですが、子供の学校入学や病気等により特別の出費を要する場合には、毎月の養育費とは別に費用を支払う旨定めます。また、母(父)が再婚し、かつ、子供と再婚相手との間で養子縁組がなされた場合には、養育費を適正な金額に減額できる旨、念のため定めておきます。
夫が無職で収入がありません。この場合、養育費はもらえないのでしょうか。
原則として、養育費算定表の前提となる総収入は「ゼロ」として扱うことになります。そして、潜在的稼働能力の有無(夫が働こうとすれば働けるのに働かないケースであるのか)を考えることになります。この潜在的稼働能力は夫の年齢、就労歴、健康状態によって判断することになります。   しかし、実際は、収入がゼロの場合は、夫としてはまずは自分の生活費に充当してから相手に渡すでしょうから、賃金センサスの統計により算出して、その金額の収入があったものとみなしたとしても、現実的に強制執行をすることは困難でしょう。なお、養育費の支払い義務者が生活保護を受給している場合は、養育費の支払い義務は負わないことになっています。   
※賃金センサスとは、厚生労働省が都道府県労働局、労働基準監督署を通して行っている職種別・年齢別の賃金に関する統計である賃金構造基本統計調査の情報を集めたものです。
私は、収入を食費などの生活費の支払いに充てるほか、住宅ローンの支払いにも充てているため、毎月手元に残る金銭はわずかしかありません。このような苦しい生活状況でも、養育費は支払わなければならないのですか。
養育費の額については、ローンの支払いなどの生活状況は考慮されにくいのが現状です。これは、親が未成熟子に対して、生活保持義務という高度の扶養義務を負っているためです。  ※ 生活保持義務とは、扶養義務者(親)に経済的な余力がない場合であっても、被扶養者(未成熟子)に対して自分の生活と同質で同程度の生活を保持させる義務を意味します。
元夫が自己破産をすると養育費はもらえなくなりますか。
養育費は「非免責債権(破産の免責の対象外となる債権)」ですので、破産をしても養育費の支払い義務は消滅しません。ただ、もともと元夫が破産するケースは、元夫の収入が不安定だったり、無職であったりする場合も多いので、現実に金銭回収するのが困難であることはあります。
妻は専業主婦でした。この場合、養育費算定表の収入も「ゼロ」になるのですか。

原則、「ゼロ」になります。しかし、潜在的稼働能力がある(働こうと思えば働ける)場合には、パートアルバイト労働者の平均賃金を基準とする場合もあります。離婚調停や審判では、「100~200万円程度の稼働能力がある」と評価されることが多いようです。ただし、子供が乳児である場合や子供が病気の場合、妻自身が病気で働けない場合には、潜在的稼働能力がないと判断されることもあります。

離婚の際に、父母の間で「養育費を支払わない。受け取らない。」という約束をしたのですが、それでも養育費は請求できますか。
そのような合意をしていても、子供が養育費の支払いを受ける権利を失うものではないというのが一般的な考え方です。ですので、父母間の実情に応じて、あらためて養育費を取り決め、請求することができます。
夫が不倫相手の子供を認知した場合、夫は養育費を支払わなければならないのでしょうか。
養育費を支払う必要があります。認知することによって、法律上の親子関係が生じます。法律上の親子関係の発生により、扶養義務が生じます。その結果、認知した父は、認知した子の養育費を支払う義務が生じるのです。
夫は、離婚したいと言って家を出て行ってしまい、生活費をくれません。どうすればいいでしょうか。
結婚生活にかかる費用(婚姻費用)は、夫婦それぞれの資産や収入に応じて負担しなければなりません。仮に、一方が離婚を望んで別居したとしても、離婚が成立するまでは、夫婦は互いに婚姻費用を分担する義務があります。したがって、夫に対し、生活費を渡すよう求めることができます。もし、夫が応じなければ、家庭裁判所の調停あるいは審判で婚姻費用の分担額を決めることができます。
慰謝料は、どんな場合に認められるのですか。
慰謝料とは、相手方の違法な行為によって「精神的苦痛」を受けたことに対する損害賠償金です。慰謝料が認められるためには、相手方の行為が違法であることが前提です。浮気や暴力が違法行為の典型例です。精神的苦痛を受けても、相手方の行為が違法でない場合には、慰謝料は認められません。例えば、性格の不一致や価値観の相違では違法行為といえないことが多く、慰謝料は認められないでしょう。
不倫の慰謝料を少しでも多く取るためには、どのような点に気を付ければよいのでしょうか。

当事者が話し合う場合の注意点は、次のとおりです。
・感情をおさえること。金銭の計算と割り切って、冷静に交渉する必要があります。
・根拠を明示すること。要求金額がどうして出てきたか、その根拠をハッキリさせないと、相手方は納得しないものです。
・慰謝料請求の額は、出す側にとって、不可能的な高額でないこと。多いほどよいといっても、相手のふところ状態を無視した高額の要求は、相手をして話にならない、どうしようもない、という捨て鉢な気持ちにさせます。
・TPOを使い分けること。どんな交渉でも、TIME(タイム=時)、PLACE(プレイス=場所)、OCCATION(オケイジョン=場合)の三つを見分け、いわゆる「潮時」をタイミングよくつかむのが、成功のコツです。
・同時履行を忘れないこと。離婚届その他の文書に署名捺印する場合には、慰謝料についての約束を取り付けることと引き換えにすることです。

・必ず文書にすること。口約束でも、慰謝料支払いに関する契約は成立し、相手方には法律上の支払義務が発生します。しかし、後から紛争が起こると、「水掛け論」になりがちですから、まさかの時に備えて、約束は文書にして、両当事者が署名捺印してください。
夫が職場の部下である女性と不倫関係にあったことが分かりました。そこで、私は慰謝料を請求しようと思いますが、夫と不倫相手である女性のどちらに対して請求できるのでしょうか。また、慰謝料額について相場というものがあるのでしょうか。不倫の慰謝料請求について教えてください。

・婚姻をしている夫婦は互いに貞操を守る義務を負っています。したがって、本件のように夫が不倫をしてこの貞操義務に違反した場合には、妻はこれにより被った精神的苦痛について、不法行為に基づく慰謝料請求権を有します。

・不倫は必ず配偶者と不倫相手の二人以上で行われます。不倫の慰謝料は、不倫をした配偶者ないし不倫相手のどちらか一方にだけ請求することもできますし、双方に対して請求することもできます。しかし、不倫をした配偶者か不倫相手のいずれかから相当の慰謝料を受け取った場合には、それによって精神的損害は慰謝されたものとみなされ、もはや他方には慰謝料を請求できなくなります。また、双方に対して請求した場合であっても、それぞれから慰謝料を二重取りできるわけではありません。
・不倫の慰謝料を支払った者は、他方の不倫相手に対して、支払った慰謝料の一部を負担するように請求できます。但し、不倫の原因が慰謝料を支払った者に全面的にある場合(職場の力関係を利用して不倫を迫ったなど)には、負担の請求は困難となります。
・不倫慰謝料の相場はあってないようなものです。裁判になった場合、100万円~300万円の解決が多いとされていますが、「交渉で解決したい。裁判は避けたい。」という強い意向があれば、慰謝料が高くなることもあります。また、不倫により離婚に至ったかどうか、婚姻期間の長短、不倫の期間なども、慰謝料額を左右します。
妻と離婚することに合意した後に、私に恋人ができました。妻から不倫の慰謝料を請求されないか心配です。

夫婦で離婚することに合意すれば、婚姻関係が破綻したことになりますので、不倫にはなりません。したがって、慰謝料は請求されません。ただ、離婚することの合意をした日時が明らかになるように、日時を正確に書面の形に残しておくことが大切で
す。

夫と性格が合わず、勤務先の上司である男性に悩みを聞いてもらっているうちに不倫関係に陥り、そのことが夫に知られて離婚することになりました。不倫関係になったときには夫との関係は冷えていましたが、夫に対して慰謝料を支払わなければならないのでしょうか。

慰謝料を支払わなければならない可能性が高いでしょう。要点は、不倫関係になったときに婚姻関係が破綻していたといえるかどうかです。ただ、たとえ夫と性格が合わなくても、一応夫と生活を共にしていた以上、婚姻関係が破綻していたとまではいえず、不倫により婚姻関係が破綻したものとして慰謝料を支払わなければならないとされることが多いようです。

夫がダブル不倫(配偶者ある者同士の不倫)をしました。私は、夫を許して夫と離婚せずにやり直すつもりですが、夫の不倫相手の女性は許すことができません。そこで、夫の不倫相手である女性に慰謝料を請求しようと思いますが、何か問題になることがありますか。

・夫がダブル不倫をした場合、貴女は夫の不倫相手である女性に慰謝料を請求することができます。
・しかし、もし貴女の慰謝料請求をきっかけとして夫の不倫相手である女性の夫が不倫を知った場合、夫の不倫相手である女性の夫から、貴女の夫が慰謝料を請求される恐れもあります。
・そうすると、貴女は、夫と離婚する場合であればともかく、夫と離婚しない場合は、夫の不倫相手に対する慰謝料請求がきっかけで夫の不倫相手である女性の夫から慰謝料請求されることにより、夫と財布が一緒である貴女自身も、少なからず損害を被る恐れがあることを十分考慮した上で、夫の不倫相手である女性に慰謝料請求するかどうかを決める必要があります。
・特に、貴女は夫と離婚せず、他方、夫の不倫相手である女性とその夫が離婚する場合には、貴女が請求できる金額よりも夫が請求される金額の方が高くなるのが通常ですので注意が必要です。

不倫の調査のために、探偵社を利用しました。その探偵調査に50万円を支払いました。不倫の相手に、慰謝料請求するに当たり、この調査費用も併せて請求したいのですが、認められますか。

任意で請求する場合は請求して下さい。裁判で請求する場合は、認められる場合と認められない場合があります。
不貞・不倫行為は、秘密裏に行われるので、この事実を慰謝料請求する側で立証するのは困難な事案が多いです。そこで、探偵調査を利用される人が大変多くなっています。しかし、探偵費用は、通常1日当たり10万円以上とし、その調査の日数が長期間にわたったり、動員数を増やして調査をきめ細やかにしたりすると100万円を超える高額な費用がかかる場合があります。そこで、近年、この費用の補填を求められるかが、重要な問題となっています。
(裁判にしない場合)
慰謝料請求と併せて探偵の調査費用(実費)を請求するのは自由です。ですから、任意の話し合いで解決する場合には、慰謝料の他に、探偵調査費用は遠慮せず請求して下さい。ただし、相手方が応じるかどうかは、相手方との話し合い次第です。
(裁判にする場合)
裁判になった場合、裁判所は、探偵調査費用を損害賠償の対象として認めてくれる場合と認めてくれない場合があります。その判断基準は、概ね、「当該調査が、不倫の立証に相当程度必要または不可欠であったか否か」によっているようです。また、調査が必要とされても、全額が認められるとは限らず、「相当な範囲」のみ認められます。

離婚した後でも、元夫に慰謝料請求できますか。

離婚後3年以内であればできます。慰謝料については何も決めないで離婚届を出す、ということも多々あります。離婚後に改めて慰謝料請求をすることも可能です。
もっとも、協議離婚の際に清算条項(相互に、もう債権債務のないことを確認する文言)を書面にしておくと請求は難しくなりますから、そのような書面を残しておかないことが重要です。
また実際問題としても、離婚が成立した後だと、相手方としても慰謝料を払う動機が弱くなるので、実際に十分な額を取れないという恐れがあります。そこで、慰謝料請求は離婚成立前に処理しておくべきでしょう。
なお、離婚に伴う慰謝料請求は、民法709条の不法行為制度を根拠とするものですから、不法行為に基づく損害賠償請求権の消滅時効制度の適用があります。民法724条は、不法行為に基づく損害賠償請求権の消滅時効を3年としていますので、離婚から3年以内に請求しないと消滅時効によって請求権が無くなってしまいます。

結婚中に貯蓄してきたお金は、全て妻名義の預金口座で管理しています。離婚に際して、この預金はどうなりますか。

この預金は、結婚期間中に形成された夫婦の共同財産ですから、財産分与の対象になります。したがって、預金口座の名義にかかわらず、離婚の際には、夫婦間で原則として半分ずつ分けることになります。
但し、この預金の全額が、本当に結婚期間中に夫婦共同で形成したものかについては、よく検討する必要もあります。例えば、①結婚前に妻が貯金してきた金額や、②結婚中であっても妻が相続した金額など、夫婦の共同財産と評価することが難しいものもあります。その場合には、その金額が財産分与の対象から除外されます。

子供の学資のために、これまで少しずつ子供名義で預金していました。この子供名義の預金も、財産分与の対象になるのですか。
名義に関わらず、夫婦で形成した財産であることが明らかである以上、財産分与の対象になります。したがって、このように親が貯めた財産は、子供名義であっても、財産分与の対象になります。もちろん、当事者間で、財産分与の対象から除く、という合意ができれば、財産分与の対象にする必要はありません。なお、子供が自分のお年玉を貯めた預金など、子供自身の財産といえる場合には、財産分与の対象にはなりません。
婚姻期間中ずっと専業主婦でしたが、財産分与を主張できますか。
財産分与とは、夫婦で婚姻期間中に協力して築いた財産を離婚するに当たり分けることです。妻の内助の功があったからこそ、夫が仕事に専念できたわけですから、妻が専業主婦である場合でも、夫が働いて稼いだお金は夫婦2人のものです。したがって、専業主婦であっても財産分与を主張することができます。
住宅ローンが残っている場合、財産分与はどのようにするのですか。
まず、離婚時において積極財産(預貯金等のプラスの財産)がない場合には、財産分与請求権は認められません。この積極財産がない場合とは、そもそも積極財産そのものがない場合と、積極財産はあるが債務(借金等)もあり、積極財産から債務を差し引くとプラスとならない場合のことをいいます。
そこで、例えば、財産分与の対象が不動産しかなく、不動産の評価が3,000万円であり、住宅ローンが2,000万円残っている場合には、1,000万円(3,000万円-2,000万円)が財産分与の対象となります。
これに対して、ローンが3,500万円残っている場合には、積極財産がないことになりますので、財産分与請求権は発生しません。
つまり、積極財産をすべて加算し、これから消極財産(借金、ローン等のマイナスの財産)を控除して、プラスであれば財産分与請求権が認められ、マイナスであれば認められないことになるわけです。
離婚後も夫名義の住宅に住み続けたいのですが、どんな点に注意すべきですか。
  1. 住宅が夫婦の実質的共有財産である場合には、財産分与の対象となります。ただし、住宅ローンが残っている場合には、いろいろ問題が生じます。
    残ローンが住宅の評価額を上回る場合でも、下回る場合でも、残ローンの処理について、協議しなければなりません。
    住宅が夫名義であれば、ローンの弁済も夫名義の預金口座から引き落とされることが多いと思いますので、妻が住宅を取得し、残ローンの支払いをするのであれば、残ローンの支払口座を変更するなどローンの債権者(金融機関)との協議が必要です。
    また、所有名義を変更する場合にも、通常、夫がローンの債務者となり、住宅に抵当権等が設定されていますので、ローンの債権者等と協議する必要があります。
夫の浮気によって離婚に至った場合でも、夫にも財産分与を受ける権利はあるのでしょうか。
不倫については、「慰謝料」の要素や、「離婚の可否」という判断に影響を与えますが、財産分与については原則として別個に考えます。したがって、夫が有責配偶者(婚姻を破綻させた原因を作った側の配偶者)であるからといって、夫に財産分与の請求権が無いというわけではありません。
財産分与として預金100万円を分与すると、分与した側、分与された側にそれぞれ税金がかかりますか。
財産分与の対象が現金や預金の場合には、原則として、分与者には税金はかかりません。また、分与される側ですが、財産分与は贈与ではないため、財産の種類を問わず、贈与税はかかりません。