内容証明の作成支援

婚姻費用の督促、不倫相手への慰謝料請求等につき、内容証明郵便を作成します。

婚姻費用(生活費)

  • 婚姻費用とは、その資産・収入・社会的地位などに応じた通常の社会生活を維持するために必要な費用をいい、夫婦が互いに分担すべきもの、とされています。婚姻費用は、「夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する」義務があるという民法上の規定を根拠として認められるものです。
  • したがって、無収入の妻と別居する収入のある夫は、原則として妻の生活費を支払わなければなりません。また、どちらか一方の収入が少ない場合には、収入の多い側が少ない側の生活費を分担することになります。なお、この婚姻費用は、同居している場合でも、生活費がもらえない場合には請求できます。

  • 未払いの過去の婚姻費用については、無制限に認められるものではなく、裁判上は「請求または申立てのとき」からとするのが一般的です。ですから、婚姻費用の請求をする際には、送付した日付と請求内容を郵便局が証明する内容証明郵便による請求書を送付しておくのが安全です。
  • 具体的な婚姻費用の額は、夫婦それぞれの年収、子供の人数・年齢により算出することになります。目安の金額は、実務上用いられている婚姻費用算定表により分かります。婚姻費用算定表は、インターネットで調べることができます。
  • もっとも、婚姻費用の分担を請求する側に、別居や破綻の原因がある場合などについては、請求される側の婚姻費用の分担額が減免されることがあります。

不倫相手への慰謝料請求

  • 不倫(浮気)は、法的には不貞行為といいます。不貞行為は不法行為(民法709条)となるため、配偶者が不倫をしている場合、配偶者の不倫の相手に対して損害賠償請求(慰謝料請求)をすることが可能です。
  • 不貞の慰謝料請求の要件は以下のとおりです。

    ①不貞行為があったこと。

    不倫・浮気は、秘密裏に行われることから、証拠が得られないこともあります。証拠が揃わない段階で不倫や浮気と決めつければ、当事者が証拠隠滅を図る恐れがあります。したがって、不貞行為による慰謝料請求をするには、どのような内容で、いつから起こった事であるかについて、まずは証拠を確保することから始める必要があります。

    不倫相手が不倫・浮気をしたことを認めない場合、不倫・浮気があったことを証明しなければならないのは、慰謝料を請求する側です。また、いったんは口頭で不倫・浮気を認めておきながら、後々やっぱり認めないということも予想されます。ですから、証拠を確実に押さえておくことは、とても大切です。

    この証拠は、決まったものはありませんが、第三者から見ても「間違いない」と思える証拠が必要になります。

    例えば、
    ・ ラブホテルから出てくる場面を撮影した写真やビデオ
    (費用を要しますが、探偵事務所への調査依頼も考えられます)
    ・ 肉体関係があることを前提とする内容の電子メール
    ・ 電話の通話明細
    ・ レストラン、ホテル等の領収書
    ・ クレジットカードの利用明細
    ・ 不倫・浮気をしたことを認める一筆(謝罪文等)
    ・ 第三者の証言

    ②不貞行為の当時、夫婦の婚姻関係が破綻していなかったこと。

    不倫をする前に夫婦関係が破綻(具体的には別居)していた場合には、慰謝料請求が認められない場合もあります。ただ、不貞行為の時点においてすでに婚姻関係が破綻していたことを証明しなければならないのは不倫相手の方であり、夫婦が別居している場合を除き、この証明はとても容易ではありません。

    ③相手方が既婚者であることを知っていたこと、または、知らなかった ことについて過失があること。

    配偶者が自分が結婚していることを不倫相手に隠していたり、離婚手続き中であるなどと偽って交際しており、相手もそれを信じていたことが無理もないような場合には、慰謝料請求が認められないことがあります。

    ④消滅時効期間(損害の事実と不貞行為の相手を知った時から3年、不貞行為のあった時から20年)が経過していないこと。

    この慰謝料請求権は、夫婦の一方が他方と第三者の不貞行為を知った時から時効が進行しますので、知ってから3年以上経過すると、3年以上前に生じた損害は時効により消滅してしまいますので注意が必要です。

  • 慰謝料の額は、不倫に至る事情、不倫の期間、不倫が離婚や婚姻関係破綻の直接的な原因になったか、不倫が原因で家族が過酷な負担を強いられたか、不倫相手の態度の誠実性等の様々な事情から総合的に決定されます。したがって、一律に金額を算定できませんが、一般的な相場としては、100万円から300万円程度だと考えられます。
  • 配偶者の不倫相手も既婚者であった場合(ダブル不倫の場合)、あなたは不倫相手に対して慰謝料請求をすることができますが、他方、不倫相手の配偶者もあなたの配偶者に対して慰謝料請求をなすことができます。
    この場合には、家庭全体の収支としてはプラスマイナスゼロとなり、経済的には無意味ということになります。しかし、不倫相手の配偶者があなたの配偶者に対し慰謝料請求をしてくるかは事案によって異なりますし、お金の問題以外の点で(交際中止)示談をする必要はあります。
  • 不倫相手に対する交際中止及び慰謝料を求める通知書  書式見本はこちらから
  • 相手方と慰謝料金額や条件面での折り合いがついたら、「示談書(和解書)」を作成します。当事者間の口約束だけでは安心できませんし、後日の紛争を防ぐ効果があります。
    示談書には以下の内容を記載します。
    ⅰ 事実関係
    当事者、不倫の事実、期間、損害内容等
    ⅱ 謝罪、慰謝料額、支払い方法
    謝罪、金額や支払い方法(一括払いか、分割払いか)、支払い期限等について記載します。
    ⅲ 不倫断絶の誓約
    離婚しないで婚姻関係を継続するのであれば、今後は一切配偶者との関係を断絶する旨の約束、約束に違反した場合の違約金の定め
    ⅳ 秘密の保持
    本合意内容、本件不貞行為を第三者に口外しない。
    ⅴ 債権債務の不存在条項
    本示談により、今後互いに一切の請求をしないという約束です。
    ⅵ 公正証書で示談書を作成する場合には、強制執行認諾約款付公正証書を作成するとの合意
    慰謝料を分割で支払うことになった場合、慰謝料の支払いをより確実なものとするために、強制執行認諾文言付の公正証書にすることをお勧めします。万一、慰謝料の支払いが滞った場合に、裁判を起こすことなく相手方の財産に強制執行することができます。
    公正証書は、事前に作成しておいた示談書を原案にして、公証人に作成を依頼します。

自分が不倫をしてしまった方へ

夫婦の一方が不倫をした場合、不倫は法律上の離婚原因に当たるため、夫婦間の離婚の合意が成立しない場合であっても、裁判所により離婚が認められることになります。また、不倫をした配偶者のみならず、不倫相手も不法行為責任を負い、損害賠償(慰謝料)請求を受ける立場になります。さらに、不倫をした配偶者からの離婚請求は原則として認められません。不倫をしてしまった方は、これらのことを踏まえて慎重に対応する必要があります。その際、以下の3つのことは絶対に行なってはいけません。

  • ①不倫の証拠をとられないこと

    裁判所は、不倫の証拠がなければ、不倫があったとは判断しません。証拠を相手にとられないように注意しましょう。証拠で多いのは、LINE、探偵社の調査報告書(写真)です。また、不倫相手に証拠を残しておくことも、妻(夫)にばらすぞと、脅されるおそれがあるため危険です。

  • ②相手が証拠を持っていないのであれば、自分から不倫の事実を認めないこと

    素直にすべてを認めてしまうことが、よい解決に結びつくとは限りません。かえって、離婚協議において決定的に不利になりかねません。 不倫の事実を認めてしまえば、離婚の原因を作った有責配偶者となり、高額な慰謝料を支払うことになる可能性が高まります。また、有責配偶者という立場になると、自らが離婚することを望んでいた場合でも、離婚請求することは原則として認められません。

  • ③慰謝料だけを払わないこと

    離婚が成立する前に、慰謝料だけ支払ってはいけません。あくまで、離婚に応じ  ることを条件に慰謝料を支払う約束をしなければなりません。お金は、離婚を引き  出すための最大のカードです。