判例集(最高裁判例)

  • 貞操義務違反配偶者の相手方が負う責任
    夫婦の一方の配偶者と肉体関係を持った第三者は、故意または過失がある限り、他方配偶者の夫または妻としての権利を侵害し、その行為は違法性を帯び、その他方配偶者の被った精神上の苦痛を慰謝すべき義務がある。(昭和54年3月30日判決)
  • 貞操義務違反配偶者の相手方が負う責任
    肉体関係を持った当時すでに婚姻関係が破綻していたときは、不法行為責任を負わない。(平成8年3月26日判決)
  • 過去の婚姻費用の請求
    離婚訴訟において財産分与の額及び方法を定めるに当たっては、婚姻費用の清算のための給付をも含めることができる。(昭和53年11月14日判決)
  • 一方当事者の意思に基づかない離婚
    合意により協議離婚届書を作成した一方の当事者が、届出を相手方に委託した後、協議離婚を翻意し、その翻意を市役所戸籍係員に表示しているときは、相手方に対する翻意の表示または届出委託の解除の事実がなくとも、協議離婚届出は無効である。(昭和34年8月7日判決)
  • 財産分与に含まれるもの……清算・扶養・損害賠償
    財産分与は、夫婦が婚姻中に有していた実質上共同の財産を清算分配し、かつ、離婚後における一方の当事者の生計の維持を図ることを目的とするものであるが、離婚による慰謝料を含めることもできる。(昭和46年7月23日判決)
  • 裁判上の離婚原因……回復し難い強度の精神病
    夫婦の一方が不治の精神病にかかっている場合でも、諸般の事情を考慮し、病者の今後の療養、生活等についてできる限りの具体的方途を講じ、ある程度において前途にその方途の見込みのついた上でなければ、離婚の請求は許されない。(昭和33年7月25日判決)
  • 裁判上の離婚原因……回復し難い強度の精神病
    妻が精神病にかかり、回復の見込みがなく、また妻の実家が療養のための経済的能力があり、一方夫の生活が必ずしも裕福でない等の事由がある場合は、民法770条2項(裁判所の職権による離婚請求棄却)による離婚請求を棄却できない。(昭和45年11月24日判決)
  • 有責配偶者の離婚請求……一定の要件の下に認めた例
    夫婦が相当の長期間別居し、その間に未成熟子がいない場合には、離婚により相手方がきわめて過酷な状態におかれる等著しく社会正義に反するといえるような特段の事情のない限り、有責配偶者からの請求であるとの一事をもってその請求が許されないとすることはできない。(昭和62年9月2日判決)
  • 有責配偶者の離婚請求……婚姻関係破綻後の不貞行為
    婚姻関係が完全に破綻した後の夫の他の女性との同棲は、夫の離婚請求を排斥すべき理由とならない。(昭和46年5月21日判決)
  • 子の監護費用の支払い
    別居後単独で子の監護に当たっている当事者から他方の当事者に対し、別居後離婚までの期間における子の監護費用の支払いを求める旨の申立てがあった場合には、裁判所は離婚請求を認容するに際し、その支払いを命ずることができる。(平成9年4月10日判決)
  • 内縁の不当破棄と損害賠償
    内縁を不当に破棄された者は、相手方に対し婚姻予約の不履行を理由として損害賠償を求めることができるとともに、不法行為を理由として損害賠償を求めることもできる。(昭和33年4月11日判決)
  • 婚約の不当破棄と損害賠償

    当事者が婚姻を約した上、長期間にわたり肉体関係を継続した場合において、たとえその間当事者がその関係を両親兄弟に打ち明けず、結納、同棲をしなかったとしても、婚約は成立し、不当破棄者に慰謝料の支払義務がある。 (昭和38年9月5日判決)