離婚と税金

離婚は今まで一緒に生計を立ててきた夫婦が別々に生活を始めるため、どうしても金銭問題は避けて通れません。 離婚の際の金銭のやり取りは、通常「養育費」「慰謝料」「財産分与」等が一般的です。

養育費について

  • 養育費は、子供が親に対して持っている権利であり、親にとってみれば、子供に対する債務です。
  • したがって、養育費は夫婦間の金銭のやり取りには入りません。

慰謝料について

  • 慰謝料は、離婚原因を作った方が相手方に支払う精神的損害に対する賠償金です。
  • したがって、もらった方は収入になりますが、所得税法で「心身に加えられた損害の賠償金は非課税」と規定されていることから課税されることはありません。

財産分与について

  • 財産分与は、夫婦の財産は2人で協力して築いてきた財産であるとして、その財産を単に2人で分けることであるため、原則、贈与税はかかりません。
  • ただし、その財産分与が異常に過大であったり、この制度を利用して贈与税や相続税を逃れるための離婚であったりした場合は、贈与税が課税されます。

金銭でない場合は要注意

  • 財産をすべて金銭(預貯金等)で持っている場合は少ないと思います。
  • 主な財産としては、自宅等の不動産があると思います。不動産で慰謝料を支払ったり、財産分与とて不動産を譲渡した場合は、税務上は、不動産を相手方に譲渡したものとみなされ、支払った側、分与をした側に、譲渡所得が課税されます。

  • 不動産が下落している場合は譲渡損となり譲渡所得は発生しませんが、不動産が値上がりしている場合は譲渡所得が発生し、所得税が課税されますので、注意が必要です。
  • なお、自宅を分与するのであれば、居住用財産の3,000万円の特別控除の制度が利用できます。しかし、この特例は、夫婦や直系血族等の間での取引では適用できません。したがって、この特例を使いたいのであれば、離婚して他人になってから自宅を分与する必要があります。
※ 税については、細かい例外規定、通達、運用の変化等もありますので、協力先の税理士をご紹介します。